骨粗鬆症とは、骨密度(骨の量)が減って骨がもろくなり骨折しやすくなる病気です。日本はその割合が世界の中で最も高い国のうちの一つで、約1000万人以上の患者さんがいるというデータもあります。
骨粗鬆症が原因で、ものを持ちあげたとか尻もちなどの軽い外力により生じた脊椎(せぼね)の骨折を骨粗鬆症性椎体骨折といいます。
- 腰背部痛(ようはいぶつう)
- 急激に背中や腰の痛みが出現します。体を動かすと痛みは強くなり、寝起きすらままならなくなることもあります。あおむけになるのが辛いですが、座ってしまうと痛みは軽減することが多いです。
高齢女性(65歳以上)の急性腰痛(ぎっくり腰)のうち、68%が骨粗鬆症性椎体骨折であったというデータもあります。(参考文献①)
しかし、大きな外力がなく、知らない間に生じた時には痛みが軽度のこともあります。そのような場合、いつのまにか骨折とも呼ばれています。
- 下肢しびれ、筋力低下
- 骨折した椎体がひどくつぶれて(=椎体圧潰)脊柱管(=神経の通り道)を圧迫したり、骨折が癒合せず(=偽関節)不安定な状態が続くと、神経の麻痺が生じて下肢(脚)のしびれがでたり、筋力が低下し歩けなくなることがあります。
- 円背、姿勢異常、胸やけ
- 何か所も椎体骨折が生じた場合、身長が低くなったり、背中が丸くなります(円背、後弯症)。姿勢が前かがみに変化して腹部の臓器が圧迫されることで、逆流性食道炎という状態になり胸やけが生じることもあります。また、重心が前に移動することで、支えなしには長く立ったり歩けなくなることもあります。さらに、寝たきりになり活動が激減する人も多いため、死亡率が1.8倍も高まったという研究結果もあります。