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頚椎椎間板ヘルニア Cervical disc herniation

頚椎椎間板ヘルニア

疾患の定義と原因

脊椎は椎骨と椎間板が繰り返し重なって構成されています。椎間板は、ゼリー状の髄核(ずいかく)という組織が線維輪という外層に囲われてできており、各椎骨をつなぎ、クッションの役目もしています。
線維輪に亀裂が生じ、髄核が押し出され突出した状態を椎間板ヘルニアといいます。 突出した組織が神経(脊髄、神経根)を圧迫すると、脊髄症状や神経根症状が生じることがあります。

主な症状

頚部から肩甲骨周囲の痛み
頚部だけではなく、肩甲骨のまわりや肩甲骨のあいだにも痛みがでることがあります。
上肢の痛みやしびれ
一般に頚椎を後ろへそらせると症状が出現したり症状が強くなることが多いので、上方を見ることや、うがいをすることが不自由になります。
足のしびれ
時に足の裏にまでしびれが生じることがあります。
上肢の筋力低下
肩が上がらなくなったり、肘が曲げにくくなったりすることがあります。
巧緻運動障害
手指の細かい運動がぎこちなくなり、しづらくなることもあります。ボタンのはめ外し、お箸の使用、字を書くことなどが不器用になる等の症状です。
歩行障害
脚がもつれるような感じ、足がつっぱってつまづきやすい、階段の上り下りが困難となり手すりを持つようになる等の症状が出ることもあります。痙性跛行とも呼ばれます。

治療

保存療法

症状が軽度の場合は、保存療法(安静、薬物療法等)が中心です。

手術療法

神経の症状が進行する場合、神経症状のため日常生活に支障がある場合は手術療法が必要になります。

前方除圧固定術
神経が圧迫されている範囲が狭い場合は、神経に対する圧迫を前方から取り除き、その部分を固定する手術を行います。顕微鏡を使用して手術を行うことで、より安全に、より体へのダメージが少なくなるように工夫しています。手術当日から歩行が可能で、6〜10日後には退院可能です。
後方除圧術、後方除圧固定術
圧迫されている範囲が広い場合やもともと脊柱管が狭い(発育性脊柱管狭窄といいます)場合は、神経に対する圧迫を後方から取り除く手術を行います。頚椎に変形が強い場合や、不安定な場合は、頚椎を安定化する脊椎固定術を行うこともあります。手術当日から歩行が可能で、10〜14日後には退院可能です。
参考文献
  • Orthopaedic Knowledge Update: Spine 4 AAOS
  • 頚椎症性脊髄症 診療ガイドライン 南江堂
  • 頚椎後縦靱帯骨化症 診療ガイドライン 2011 改訂第2版 南江堂
  • 脊椎脊髄病用語辞典 改訂第4版 日本脊椎脊髄病学会 編 南江堂
  • 脊椎脊髄病学 岩崎幹季 第1版 金原出版株式会社
  • 頚椎症 NEW MOOK 整形外科 No.6 金原出版株式会社
  • 頚髄症神経根症の保存療法のコツとpitfall Monthly Book Orthopaedics Vol.16 No.8
  • 第11回 日本整形外科学会 脊椎脊髄病医研修会 テキスト
  • 公益社団法人 日本整形外科学会 ホームページ
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