TOP脊椎疾患について > 頚椎後縦靭帯骨化症

頚椎後縦靭帯骨化症 Cervical posterior longitudinal ligament ossification

頚椎後縦靭帯骨化症

疾患の定義と原因

脊椎の骨と骨の間は靭帯で補強されています。椎体の背中側で脊髄の前方には後縦靭帯が存在します。頚椎で後縦靭帯が分厚くなって骨のように硬くなってしまい神経(主に脊髄)が圧迫された状態を頚椎後縦靭帯骨化症と呼びます。
厚生省の特定疾患に指定され研究が行われており、遺伝的背景が強く関係していると考えられています。

主な症状

手足のしびれ
手足にしびれ感や感覚の異常が生じることがあります。
巧緻運動障害
手指の細かい運動がぎこちなくなり、しづらくなることがあります。ボタンのはめ外し、お箸の使用、字を書くことなどが不器用になる等の症状です。
上肢の筋力低下
肩が上がらなくなったり、肘が曲げにくくなったりすることがあります。
歩行障害
脚がもつれるような感じ、足がつっぱってつまづきやすい、階段の上り下りが困難となり手すりを持つようになる等の症状が出ることがあります。
痙性跛行とも呼ばれます。

治療

保存療法

脊髄症状がないか軽度の場合は、保存療法(安静、薬物療法等)が中心です。
※頚椎後縦靭帯骨化症では、首を後ろに反らせすぎたり、仕事や遊び、泥酔などにより転倒・転落することで脊髄症状が出現したり悪化したりすることがあり、くれぐれも注意が必要です。

手術療法

脊髄症状が進行する場合、脊髄症状のため日常生活に支障がある場合は手術療法が必要になります。
手術は「前方除圧固定術」や「後方除圧(固定術)術」を行います。

前方除圧固定術
神経の圧迫されている範囲が狭い場合は、神経に対する圧迫を前方から取り除く手術を行います。顕微鏡を使用して手術を行うことで、より安全に、より体へのダメージが少なくなるように工夫しています。手術当日から歩行が可能で、7〜10日後には退院可能です。
後方除圧(固定術)術
圧迫されている範囲が広い場合は、神経に対する圧迫を後方から取り除く手術を行います。頚椎の変形がある場合や、頚椎が不安定な場合は、頚椎を安定化する脊椎固定術を行います。手術当日から歩行が可能で、10~14日後には退院可能です。
参考文献
  • Orthopaedic Knowledge Update: Spine 4 AAOS
  • 頚椎症性脊髄症 診療ガイドライン 南江堂
  • 頚椎後縦靱帯骨化症 診療ガイドライン 2011 改訂第2版 南江堂
  • 脊椎脊髄病用語辞典 改訂第4版 日本脊椎脊髄病学会 編 南江堂
  • 脊椎脊髄病学 岩崎幹季 第1版 金原出版株式会社
  • 頚椎症 NEW MOOK 整形外科 No.6 金原出版株式会社
  • 頚髄症神経根症の保存療法のコツとpitfall Monthly Book Orthopaedics Vol.16 No.8
  • 第11回 日本整形外科学会 脊椎脊髄病医研修会 テキスト
  • 公益社団法人 日本整形外科学会 ホームページ
    〈一般の方へ→病状・病気をしらべる→頚椎の症状〉