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成人脊柱変形 Adult spinal deformity

成人脊柱変形

疾患の定義と原因

小児の側弯症と同じように、背骨が左右や前後に弯曲した状態で、ねじれも加わることがあります。小児期からみられる側弯症が進行して生じる場合と、中高年になってから新たに変形が生じる場合があります。左右に曲がる場合を側弯症、前方に曲がる場合を後弯症といいます。
成人、とくに中年以降の女性に多く生じ、変性側弯症と呼ばれることもあります。

主な症状

腰や背中の痛み、脚のしびれや筋力の低下、間欠跛行(長く歩けない、立っていられない)、逆流性食道炎(胸やけ)、前方注視障害(前が見えない)などをきたすことがあります。
近年、脊柱の変形、特に後弯変形がADL(日常生活動作)やQOL(生活の質)に悪影響を及ぼすことが明らかになっています。また、小児期からの側弯症に対して適切な治療が行われず、変形が進行したことによる中高年以降のQOL(生活の質)の低下が問題となっています。

治療

治療方針

変形が大きく、症状も強く日常生活に障害が大きい場合には、手術が最も効果が高いことがわかっています。
変形や症状が軽い場合には、薬物療法や理学療法を行います。当院では積極的に体操療法も取り入れています。

手術療法

矯正固定術
椎弓根スクリューというシステムや、椎骨の骨切り、椎骨間の固定など様々な手法を組み合わせて、変形を矯正し固定します。
手術翌日から起立・歩行訓練を開始して、14日後には退院しています。
大きな手術になることが多く、充分に準備をして手術を行っています。OLIF(リンク)といった新しい低侵襲手術の手技も導入、併用して、少しでも全身に負担の少ない手術を目指しています。
当院ではMIStと呼ばれる低侵襲脊椎手術手技(身体への負担が小さい手術の方法)を積極的に応用、導入しています。
MISt学会
OLIF(前側方固定術の一つ)
前側方(お腹の横側)から脊椎の間にインプラントを挿入し、不安定な脊椎を安定化させる方法です。
出血や背部の筋肉へのダメージが少ない方法です。すべての患者さんに施行できるわけではありません。
手術当日から歩行が可能で、10~14日後には退院可能です。

最後に

当院では、手術に限らず小児から成人まで側弯症の治療を積極的に行っております。