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脊椎外科医のせぼね塾③ 骨粗しょう症性椎体骨折

 

「急に腰が痛くなって、1か月経ってもまだ痛い」「寝起きの時に腰がひどく痛む」

 これらは “骨粗しょう症性椎体骨折”というせぼね(脊椎)の骨折で良くみられるものです。せぼねの骨折なんて!と思われる方も多いと思いますが、一生のうちで最も骨折しやすい骨はせぼねだといわれています。

 骨粗しょう症は、骨の量が減り、質が低下して骨折の危険性が高くなった状態で、日本全体の患者数が1280万人にのぼる非常に多い病気です。女性により多く、年齢とともに徐々に進行します。

 “骨粗しょう症性椎体骨折”は、骨粗しょう症のため軽い力で生じるせぼねの骨折です。急に腰が痛くなり整形外科を受診した65歳以上の患者さんのうち、64%が“骨粗しょう症性椎体骨折”だったという衝撃的なデータもあります。

 症状は急激な腰痛で、動くと強く、座ると軽くなることが多いです。骨が神経を刺激してあしのしびれがでたり、背中が丸くなったり、胸やけをおこす逆流性食道炎という病気になることもあります。一方、知らない間に生じて痛みが軽度の時もあり、それを“いつのまにか骨折”といいます。

 治療は、まずは装具での固定です。しっかりした装具の方が骨のつく確率が高くなりますが、それでも半年で骨がつく率は90%に届きません。ドミノ骨折とよばれる骨折の連鎖を断ち切るため、骨粗しょう症の薬物療法も強力に行います。骨がつかない場合、手術が必要になることがあります。手術の中でも、約5㎜の小切開から骨セメントを流し込み、骨折した脊椎を安定化させる“経皮的椎体形成術”は、身体に対する負担が非常に小さいため、高齢の方でも比較的安全に施行できる手術です。(BKP治療法:せぼねと健康.com

 しかし、大事なのは骨粗しょう症の予防と治療で骨折を未然に防ぐことです。カルシウムやビタミンを含んだ適切な食餌や薬物療法、適度な運動で、強い骨と活動的な身体を維持することが最重要といえます。

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